
実家に帰った時に、母親から進められた現代陶芸家 ハンス・コパー展が最終日
ということで、夕方から汐留ミュージアムへ行ってきました。
「現代陶芸家」というのは耳慣れない言葉でしたが、作品を観ていくうちに、
そのなんともいえない絶妙な美しいフォルムと斬新な色合いが、
日頃親しみのある陶芸の域を超え、究極まで極められた「美」を
感じることのできる、すばらしい展示でした。
ハンス・コパー<1920-1981>は若い頃ロンドンに渡り、
陶芸家ルーシー・リーの工房で働き始め、
最初は陶製のボタンなどを作るうちに才能を認められ、
ろくろを使って自分の作品を作り始めたそうです。
最初は実用的な器を作り、ルーシー・リーがそれに色を付けたり、
二人で作品展に出品していたそうです。
そこから独立をし、建築物のための工業デザインにも携わり、
大聖堂のための燭台や、音を吸収するレンガの構造など、
洗練された実用的なデザインを次々と生み出していきます。
その後、自らの工房を作り、独自の世界観を磨きあげていきます。
ハンス・コパーは一つのテーマに対して、
徹底的に追求するタイプの人だったようで、
一つの形を決めると、その形をバリエーションを変えて作り続けたそうです。
初期の頃と比べて、のちの作品は一つひとつの形が
本当に面白く、見る角度によって様々な表情を見せてくれます。
さらに驚くべきは、どんなに独特な構造をした作品も、
実用性を損なわれることはなかったということ。
美を極めてなお、実用性を欠かない。
これはハンス・コパーのある種の哲学だったのかもしれません。
晩年「筋萎縮性側索硬化症」という、身体が徐々に麻痺していく
難病に苦しみ、亡くなる直前に思想などをまとめた文献や資料を
全て焼き捨ててしまったようです。
他人と滅多に交流することのないとても変わった人のようです。
「そして不思議な形だけが残った」というコピーにもうなずけます。
同じ会場でルーシー・リーの作品も少し観ることができたのですが、
ハンス・コパーのような美しいフォルムに加え、
鮮やかな色合いや曲線美がとても女性らしさを感じる作品でした。


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